外国人「育成就労」創設法が成立 技能実習を見直し職場変更「転籍」可能に 出生率危機も首相「移民政策とらず」

技能実習に代わる外国人材受け入れの新制度「育成就労」を創設する改正入管難民法と改正技能実習適正化法が14日、参院本会議で可決・成立した。公布から3年以内に施行される

今回の法改正で創設される育成就労制度は、外国人労働者に関してこれまでの「実習」に代わり「人材育成・確保」を目的とし、人手不足の分野に呼び込むもので、即戦力とされる特定技能水準の人材を育て、長期就労を促す。

また、技能実習では原則認められていなかった、同じ業務分野で職場を変える「転籍」も、一つの職場で1年を超えて働き一定の技能や日本語能力を保有することを条件に認めた。ただ、当面の間は分野ごとに最長2年まで転籍を制限できる。

現在の「技能実習制度」では、「転籍」が原則認められておらず、厳しい労働環境で失踪する技能実習生が相次いでいたほか、技能実習を目的としながら外国人労働力確保に利用されてきた矛盾や、賃金未払いやハラスメントなどの発生を含め、人権侵害につながる例が指摘されてきた。

さらに中国などとの外国人材の争奪戦も激しくなる中、人手不足解消のため外国人が働きやすい制度に改革する必要性が指摘されていた。

岸田首相は法案審議での答弁で「政府として国民の人口に比して一定程度規模の外国人やその家族を、期限を設けることなく受け入れることで国家を維持する、いわゆる移民政策を取る考えはない」述べている。

大阪公立大学、30年度までにスタートアップ起業50社目指せ ユニコーン「稼ぐ大学に」 – 日本経済新聞

大阪公立大学、30年度までに起業50社 「稼ぐ大学に」
#関西 #地域 #2025年 万博
2024/5/28 5:00
公立大学法人大阪の福島伸一理事長は「自ら稼ぐ大学」を目指す考えを示した
大阪公立大学は2030年度までに大学発スタートアップを50社創出する方針だ。起業に向けたコンサルティング窓口を設けるなど支援体制を整え、特許のライセンス料や寄付金など大学が得られる資金の増加を目指す。限りがある補助金や交付金に頼らず、外部資金を稼ぐ力を高めて研究や教育環境の充実につなげる狙いだ。

同大学を運営する公立大学法人大阪の福島伸一理事長が、日本経済新聞の取材に答えた。経済産業省が15日発表した23年度調査で、大学発スタートアップ数の首位は東京大(420社)。慶応大(291社)と京都大(273社)が続き、大阪公立大は37社にとどまる。

福島氏は「体力のある企業が減少する中、大学がスタートアップや新たなビジネスの担い手にならなければならない」と指摘。「大阪国際感染症研究センター」や、人工知能(AI)に関する世界最大規模の研究所「ドイツ人工知能研究センター(DFKI)」の研究拠点などの学内設備を生かし、「特に医療や工学の分野に注力する」と語った。

4月にはスタートアップ創出や産業界などとの連携を加速させるため組織を再編。産学官民共創推進本部やスタートアップ創出・支援センターなどを新設した。大学が持つ研究成果を企業やベンチャーキャピタル(VC)などに売り込み、起業に求められるマネジメントや研究の実用化などで教員をサポートする。

同大学は財政基盤を強化するため、外部資金を30年度までに22年度比で倍増させ、200億円程度に伸ばす目標を掲げる。23年度は国の「地域中核・特色ある研究大学強化促進事業」(約55億円)などに採択され、外部資金は計100億円を超えたとみられる。ただ、大口事業が少なかった22年度は計約94億円。文部科学省によると科学研究費補助金(科研費)は約21億円で、東京大(約211億円)や京都大(約141億円)などに水をあけられている。

福島氏は「国の補助金には限りがある」と指摘。産官民との共同研究やスタートアップの創出で、大学への投資や寄付を増やし、「研究や教育に必要な資金を自ら稼ぐ」と強調した。産業界や行政との連携を促すため、教員の社会貢献度に応じた評価システムの導入も検討中だと説明した。

英教育専門誌タイムズ・ハイヤー・エデュケーション(THE)がまとめる世界大学ランキングで、24年に「1201〜1500位」だった順位を35年までに200位以内に引き上げる目標も掲げている。海外からの研究者や留学生を呼び込むため、国際事務サポートセンターや国際教育センターを4月に新設。23年度は計784人だった外国籍教員と外国人留学生を30年度までに倍増させる計画だ。

25年国際博覧会(大阪・関西万博)については「学生たち若い世代が未来社会を体感する機会だ」と指摘。22年から町づくりやリーダー論などを学べる「ボランティアリーダー育成プログラム」を開講し、受講生は累計で100人にのぼるという。

16日に公表した、青酸カリ(シアン化カリウム)など計50グラムを紛失した件については「深くおわび申し上げると共に、警察の捜査に全面的に協力する」と陳謝した。27日に化学物質の管理ルールを改正し、安全対策の強化に取り組むなどの再発防止策を発表した。

内陸型地震の被害想定、22府県で10年以上見直さず

地震で倒壊したビル(1月19日、石川県輪島市河井町)
能登半島地震で起きた「内陸型地震」の被害想定について全国22府県が、10年以上にわたり更新していないことが日本経済新聞の調査で分かった。石川県は同半島の地震について1997年度から見直しておらず、想定以上の被害が発生した。自治体の予算や専門的な知見は限られており、国や専門機関による支援が求められる。

地震は大きく分けて陸地の活断層がずれるなどして起こる内陸型地震と、重なり合う海溝のプレートが跳ね返って発生する海溝型地震がある。石川県で起きたのは能登半島付近の約150キロにわたる活断層が原因とされる内陸型地震だった。

国が被害想定を策定するのは南海トラフ地震や首都直下地震など、範囲が広かったり被害が甚大だったりする災害に限られる。地域ごとの地震については都道府県が被害想定をまとめるケースが一般的だ。

石川県は97年度に能登半島でマグニチュード(M)7・0の地震が起きるとの想定をまとめ、地域防災計画を作成。死者7人、建物全壊120棟の「ごく局地的な災害」と見積もった。

1日で発生から5カ月となった能登半島地震は、地震エネルギーが約8倍のM7.6。死者260人、全壊が8千棟を超す大規模災害となった。計画が更新されていれば応急対応や復旧作業の迅速化、耐震化に向けた施策の充実などが図られた可能性がある。

石川県も東日本大震災後に津波の浸水想定を改めたが、内陸型地震の被害想定については2020年末ごろからの群発地震の増加を受けて、23年8月に見直しに着手したばかりだった。

見直しが進まない地域は少なくない。内陸型地震の被害想定を設ける46都道府県を対象に日本経済新聞が更新状況を調べたところ、22府県で10年以上にわたり更新がされていなかった。山形や大阪、石川、兵庫、京都、奈良、愛知、山口、長崎、宮崎の10府県では、各地で大規模地震のリスクが意識された東日本大震災以前の想定のままだった。

高知県は、県内で南海トラフ地震以上の被害を及ぼす活断層が見つかっていないため、内陸型地震の被害想定を作成していないと回答した。

法令で見直すべき頻度が定まっているわけではないが、内閣府の担当者は「被害想定が長期間更新されないリスクが能登半島地震で明らかになり、課題だと考えている」と話す。京都大の牧紀男教授(都市防災)も「5年ごとの国勢調査など、社会の変化を捉えられるタイミングで更新するのが理想的だ」と説明する。

石川県地域防災計画では「災害度は低い」としていた
被害想定をつくるには、まず政府の地震調査研究推進本部による全国各地の活断層リスクの評価が重要になる。その上で都道府県はボーリング調査などで地質を調査し、人口や建物の耐震化率を踏まえて人的・物的被害を試算するのが一般的だ。

更新が進まない理由として、外部の業者に調査を依頼する費用や、地震学の専門的な知識の不足を挙げる自治体は多い。ある県の担当者は「予算の制限に加え、県には地震の専門職員が2人しかおらず、県独自で更新するのは難しい」と打ち明ける。

能登半島地震では政府の推進本部による活断層リスクの評価の課題も浮かぶ。

今回、同本部は半島沖の北東から南西にかけて確認されている複数の活断層が関連した可能性が高いとの評価を取りまとめた。海域の活断層は直接観測することが難しく、長期評価が間に合わなかった。

同本部は2月の作業部会で、地震の長期評価を従来よりも前倒しで公表することを決めた。長期評価や石川県の見直しが遅れたことを受け、簡易的な評価方法を取り入れるなどして地域の防災対策を促す狙いがある。

東日本大震災後に南海トラフ地震など海溝型地震のリスクは強く意識されたが、内陸型地震は国・自治体ともに後手に回ったとも言える。被害想定は企業の事業継続計画(BCP)策定にも資するだけに早急な対応が求められる。

東北大の丸谷浩明教授(防災政策)は「被害想定の更新は単独の自治体でできるような規模感のものではない。本来は国のサポートが必要だ」と指摘する。

「単純に何年おきに更新すべきものとはいえない」としつつ、内陸型地震の地域防災計画を見直した自治体についても「社会インフラの変化や高齢化など既存の計画とずれが生じた場合は改善を図るべきだ」と強調した。

(近藤彰俊、島村瑞稀)
日本経済新聞令和6年6月1日付

ICFの理解と活用『ICFと防災』


ICFとは?
人間の生活機能と障害について
『心身機能』、『身体構造』、『活動と参加』、『環境因子』
約1500項目に分類している。
ICFとは、生活機能・障害の構造論ですが
難病や障害のある人の現状を
解釈するためではなくより良い方向に変えるためにこそある